2015年10月28日水曜日

TECH21 サンズアンプ SansAmp BASS DRIVER DI レビューと使い方&試奏音源


はじめに


TECH21 SansAmpBASS DRIVER DIは恐らくライブハウスなどで最も多く見かけることが多いのではないかと思われるほど、使っているプレーヤーが多く、著名なプレーヤーも利用している方が多いため、誰もが一度はその音を耳にしているのではないかと思います。筆者も愛用者の一人で、長年利用しています。もはや言わずと知れた名機SansAmpについてレビューと使い方を紹介していきたいと思います。






SansAmpとは


SansAmpはエフェクターの中でもプリアンプと呼ばれるものです。そもそもプリアンプというのは、音のボリュームや音の特徴となる周波数などを調整するもの。普段スタジオで使っているアンプのヘッドやアクティブベースと呼ばれるタイプのベース本体にもプリアンプが内蔵されています。
「アンプのヘッドやベース本体にもプリアンプが内蔵されているなら、なぜ他にプリアンプが必要なのか?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、プリアンプによって音に特徴があり、調整できるつまみの周波数や種類などにも差があります。自分好みのプリアンプを一台持っておくことで、スタジオやライブハウスで違ったアンプを通した時に、いつもと同じ感覚で音作りができるといった点が大きなメリットとなります。
またSansAmpはDI(ダイレクトボックス)機能も備えています。この機能は簡単に言うと、SansAmpから低ノイズで直接ミキサーに繋げることができるものです。ライブハウスではベースをアンプではなくダイレクトボックスという小さな箱に繋げることが多いと思いますが、SansAmpがその箱の代わりとなり、左側面にあるXLR端子からミキサーに直結できます。ベースからアンプやミキサーなどへ繋ぐ際、音質の劣化を防ぐためには、なるべく間に必要のないものは挟まない方が良いのです。





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音の特徴とレビュー


SansAmpはチューブアンプエミュレーションという回路を搭載しており、真空管アンプの質感を再現したものです。プリアンプにも色々な個性を持ったものがありますが、SansAmpは比較的個性の強いものと言えます。「良い意味でも悪い意味でもどんなベースを使ってもSansAmpの音になる」と巷では言われていますが、まさにその通り。比較的ベース本体やアンプに左右されず、近い音を出してくれます。ただSansAmpが名機となったのは、その音が非常に優秀であったためです。多くの人が気持ちいいと感じる音を繋ぐだけで作ってくれるので、初心者にとっても簡単に使えるといえるでしょう。またベース本体が安いものであっても、SansAmpを繋ぐことでランクアップしたような使える音になることが多いため、ベース本体の音が気に入らない方についてもオススメです。逆にベース本体の音を生かしたいといった利用には向かないと思います。

SansAmpは繋ぐだけで音が太くなり、いわゆるドンシャリと呼ばれるサウンドになります。つまりミドルをカットしトレブルとベースをブーストしたような音です。ただそのサウンドの調整は絶妙であり、まさに名機。皆がこぞって利用するのも頷けます。特にパッシブタイプのベースでは音の太さが足りず、アンプでベースを足してやることも多いのですが、SansAmpを繋げば、つまみはフラットでもそれだけで十分な音の太さを得ることができます。音が太くなるとバンド全体の音の厚みが増すとともに、ギターなどと音がぶつかることも少なくなるので、他のメンバーから良い評価を得られることが多いです。またドンシャリサウンドはスラップの標準的サウンドでもあり、SansAmpは比較的スラップとの相性もよく、バキバキになります。

クリーントーンはもちろんですが、歪んだ音もなかなか使えます。ちょうど真空管オーバードライブといった感じで、絶妙のドライブ感を演出することが可能です。スライドなどを多用するロックなどでは波にのっているようなドライブ感が出てとても有用といえるでしょう。

これだけ見るとかなり優秀なプリアンプであることがわかると思いますが、弱点もあります。最大の弱点はミドルのつまみが無いこと。ミドルが調整できないためやや不便で、ドンシャリサウンドになりやすいです。ドンシャリサウンドはどちらかと言えば、音のニュアンスがでにくいのですが、良い言い方をすれば音の粒に統一感がでやすくなります。音の粒ぞろいが重要視されるロックやポップスには向いていますが、ジャズやフュージョンなどニュアンス重視の曲にはあまり合わないと言えます。ただ、トレブルとミドルは12時でフラットとなるため、下げることで自動的にミドルが上がってきます。が、やや設定は面倒で、ミドルを重視する方にはオススメできません。


つまみ解説


それでは各つまみと筆者の音作りについて解説していきましょう。



LEVEL

音量の調節ができます。アンプに繋ぐ場合は小さすぎても大きすぎても良くありません。

BLEND

これはSansAmpのチューブアンプエミュレーション回路を通す割合を設定できます。簡単にいうと右に回すほどSansAmpの個性が強くなり、左に回すほど生音に近くなります。ただポイントとなるのが、BLENDを最小設定にしてもTREBLEとBASSのつまみは有効なことです。チューブアンプエミュレーション回路は比較的ドンシャリです。BLENDを下げめに設定しTREBLEとBASSも下げめに設定することで、ミドルをより強調することもできます。筆者は12時で利用することが多いです。

TREBLE&BASS

12時でフラット。ブースト、カットができます。カットすることでミドルが持ち上がるという仕組みです。筆者は12時で利用することが多いです。アンプやベースによって低音が物足りない時には、BASSをほんの少し足してやることもあります。

DRIVE

これは本当にいい感じに歪んできます。まさにドライブ感をプラスした感じで、バンドサウンドとなじみやすくなります。ロックなどでは特に少し歪ませてやると良いでしょう。筆者はこれもまた12時で利用することが多いです。

PRESENCE

アタック感を調整できます。強すぎると耳に刺さるような音になりますので、筆者は10時ぐらいに設定することが多いです。

PHANTOM&GROUND CONNECT SWITCH

右側に設定することで、XLR端子でミキサー類と接続している際に電源供給を受けることができます。ミキサーと接続しない場合は左側で良いでしょう。

LINE&INST SWITCH

右側に設定することで出力音量を抑え、つないだ先のミキサーやアンプのレベルオーバーを防ぎます。通常左側で良いでしょう。

PARALLEL OUTPUT

SansAmp回路を通さず出力することができます。

電源

9V電池もしくはアダプタで駆動できます。電池ボックスはネジを開けずに開閉可能なところもポイントです。



試奏

ではベースの標準的なモデルでもある、こちらのFender USA JBにて試奏してみたいと思います。


まずは生音から。若干ノイズがのっていますが、このトラックはSansAmpを通さず直接ライン録りしているので、このベースによるものです。あしからず。




ではほぼフラットに近いセッティングから。適度にドライブしてテンポ感のあるロックに合いそうな音色です。ちなみにレベル調整は各トラック別に行っています。またベーストラックは全く同じものをリアンプして録り直しています。




次にSansAmpの個性を強めに出しつつ、歪み感は抑え気味のもの。これぞSansAmpといった旨味のある音がしますね。個性は強いですが、色々なジャンルの楽曲に合いそうです。




次にドライブをかなり強めに設定したもの。ここまで行くとさすがに使えない感じもします。




次にミドルを強調するように設定したもの。SansAmpの個性がだいぶ弱まっています。




最後にトレブルとベースをブースト気味に設定したもの。ここまでくると少し癖が強すぎる気もしますね。




まとめ


定番と言われる商品はやはり良い。筆者は一度買って、もっと他の音作りがしたいと思い売りましたが、また買い直すほど唯一無二の音がします。音作りで悩んでいる方は是非一度試してみると良いでしょう。確かに個性が強すぎるため、いつの日か他の音が欲しくなるかもしれません。ただ、これにしか出せない音がある以上、手放せないのは確かで、一台持っていて間違いはないと思います。また扱いやすいのも特徴であり、上記の通り筆者はほぼつまみ12時で利用しています。筆者はあまりつまみをいじりたくない派ですので、フラットでこれだけの音を作ってくれるのはとてもありがたいです。



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